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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(れ)10号 判決

主文

原判決を破棄する。

被告人らを免訴する。

理由

職権をもって調査すると、被告人らに対する本件建造物侵入の公訴は、昭和二三年二月一九日提起されたものであること記録上明白であるから、刑訴施行法二条、三条の二の規定により、本件公訴の時効、その中断等については、旧刑訴二八一条、二八五条等旧刑訴の規定の適用を受けるものであって、新刑訴二五四条等の適用を受けるものでないこというまでもない。しかるところ、昭和二六年六月一九日本件について原判決が言渡され、同二九年六月八日本件記録が当裁判所に送付され同年同月一〇日附をもって本件上告趣意書提出最終日の指定がなされ、同月一一日又は一二日被告人らに対し右指定の通知書が送達されてから本件公訴時効の期間三年を経過するまでの間に前記旧刑訴二八五条所定の公訴時効中断の事由に該る手続がなされた事実を認めることはできない。されば、本件公訴は、その時効が完成したものとなさざるを得ない。そして、かような場合においては刑訴施行法二条、三条の二、刑訴四一一条五号を準用し、原判決を破棄の上旧刑訴四四八条、四五五条、三六三条四号により被告人らを免訴すべきものであること当裁判所の判例とするところである(昭和二九年(れ)一三号同三〇年一月二一日第二小法廷判決判例集九巻一号六九頁以下、および、昭和三一年(れ)八号同年九月一四日同小法廷判決参照)。

よって、前示法条に従い、裁判官の全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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